「育児を“手伝う”じゃなく“やる”ってこういうこと」
子どもが生まれると、生活の中心がガラリと変わります。
朝起きてから寝るまで、育児が生活の大部分を占めるようになり、時間の流れも自分中心から「子ども中心」に。
そんな中で、仕事に追われているパパたちはどうしても「育児を手伝う」というスタンスになりがちです。
「仕事があるから」「疲れているから」「妻の方が慣れているから」──そうやって少しずつ距離を取ってしまう。

でも、ある日ふとした会話で、自分が“手伝う”立場にいること自体がおかしいと気づかされる瞬間がありました。
今日はそんな、私自身が「育児を“やる”とはこういうことか」と感じた話をお伝えします。
無意識の「手伝う」という言葉
長女が生まれたばかりの頃、私は仕事が忙しく、毎日遅く帰る日々を送っていました。
妻は昼夜問わず授乳や寝かしつけ、オムツ替えをこなしていて、私にできることといえば休日や早く帰れた日に“手伝う”くらい。
お風呂に入れたり、ミルクを作ったり、寝かしつけを代わったり。
当時の私は「できる範囲で協力している」と思っていました。
けれど、ある夜、妻に何気なくかけた言葉が、その考えを大きく変えるきっかけになります。
「少し疲れてる?長女ちゃんのお世話、俺も一緒に手伝うよ。」
そのとき妻は、少し笑ってこう言いました。
「ありがとう。でも、“手伝う”っていうの、ちょっと違うかもね。」
一瞬、何が違うのか分かりませんでした。
でも、よく考えると、私は“主体的にやっている”のではなく、“妻がやっている育児をサポートしているだけ”だったのです。
「やる」と「手伝う」の違い
あの日から、「育児をやる」と「手伝う」の違いについて考えるようになりました。
たとえば、妻が外出しているときに子どもを見るとき、
「今日は俺が見てるから“面倒を見てる”」と考えてしまう。
でもそれは違うんです。
子どもは夫婦の“共同責任”であり、“一時的な代役”ではない。
「手伝う」という言葉には、“主役は妻”という前提があります。
一方で「やる」という言葉には、“自分も当事者”という意識がある。
おむつを替える、ミルクをあげる、夜泣きで起きる──
どれも「妻を助ける」行為ではなく、「自分の子どもを世話する」行為です。
つまり、育児はシェアするものではなく、共に担うもの。
この感覚を持てるかどうかで、家庭の空気も、パートナーとの関係も、驚くほど変わります。
主体的に“やる”パパになるために
では、どうすれば「手伝う」ではなく「やる」パパになれるのでしょうか。
私が意識するようになったのは、次の3つのポイントです。
予定ではなく「日常」に組み込む
「休みの日は育児をする」ではなく、「毎日少しでも関わる」。
たとえ10分でも、寝かしつけやお風呂、読み聞かせなど、日々の生活に育児を自然に組み込むと、“やるのが当たり前”になります。
「やり方がわからない」では終わらせない
最初はミルクの温度も、オムツのサイズも分からなくて当たり前。
でも「わからないから任せる」ではなく、「わからないから聞く・調べる」姿勢が大切です。
妻にとっても「任せられる安心感」につながります。
感情もシェアする
育児の大変さは、体力だけでなくメンタルにもきます。
「眠れない夜」「泣き止まない不安」「思うようにいかない焦り」。
それを妻だけが背負うのではなく、同じように感じ、共有すること。
「一緒に大変だったね」と言えるだけで、夫婦の絆が深まります。
この3つを意識するようになってから、妻との会話も、子どもとの時間も、どこか前向きになりました。
「お風呂に入れる」ではなく「一緒にお風呂を楽しむ」。
「寝かしつけを代わる」ではなく「一緒に寝かしつける」。
言葉の意識が、行動を、そして家族の関係性を変えていくのです。
さいごに
「手伝う」と「やる」。
たった一言の違いですが、そこには大きな意識の差があります。
子どもは“妻の子”でも“夫の子”でもなく、“ふたりの子”。
そして、育児は“分担”ではなく“共同”。
誰かの仕事を「助ける」のではなく、自分の仕事として「やる」ことが、パパとしての第一歩だと思います。
私自身、まだまだ完璧ではありません。
でも、「手伝う」から「やる」へ意識を変えたことで、家族の時間がより穏やかになり、妻の笑顔も増えました。
これからパパになる方や、今まさに奮闘中のパパたちに伝えたいのは、
「育児はあなたの出番でもある」ということ。
一緒に成長していく中で、きっと見える景色が変わるはずです。

(こちらの記事では、育児休業中のパパのおしごとを紹介しています。
「パパとして何をすればいいのか分からない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。)

